あけび蔓の作り手を訪ねて

こんにちは。

市川籠店の店主、イチカワトモタケです。

5/1(木)から実店舗では、

“ひとつのテーブル” 特集展|長野・あけびのかご
– 時を超えて編まれる手しごと、境を超えて届くかたち –

を開催中しております。

こちらの企画展開催にあたり、先だって作り手の方を訪ねてまいりました。

作り手の方へもとへ向かう車窓から。

長野県北部のあけび蔓細工の歴史は長く、雪が降る時期の農閑期の副業として、
江戸時代の初期から始まっていたと言います。

長野県のあけび蔓細工で、特徴的なのは、表皮がついたままの茶色いあけび蔓と、
温泉に一週間ほどつけ、さらに川に一ヶ月ほど浸して発酵させてから、
表皮を剥いた「灰色のむきあけび蔓」です。

むきあけびは、編む材料を作るまでに手間がかかるため、
材料が潤沢にある時にしか、現在は作られないそうです。

作り手のTさんのところに伺うと、さっそく美しいむきあけびで編まれた手提げが!

「昔、かごは全部、表皮を剥いた、むきあけびで作られていたんだよ」

昔は、山から採れたものに一手間、つまり皮を剥いできれいな状態にして編むことが当たり前のことだったとのこと。
あけびが皮付きで編まれるようになったのは、戦後、籐-とう-(ラタン)が日本に入ってきてから、
あけびとわかるように皮のついたまま使うようになったそうです。

Tさん曰く、あけび蔓細工で有名な青森県弘前のあけび蔓細工も
ラタンが入る前は、同じように皮を剥いた「むきあけび」で作られていたとのこと。

こちらは当時、むきあけびで作られた貴重なバスケット。当時は漂白もしていたとのこと。作られてから30-40年を経て変化した色とのこと。

Tさんのご好意であけびを寝かせている場所や、他にも貴重な昔のかご細工を見せていただきました。

そして、さらに持ってきて見せてくださったのは、剥いたあとのあけび蔓の内皮です。
こちらは、表皮と芯の間にある、内皮(2枚の皮)だそうです

剥いた内皮をとっておいたとしても、かご作りに使えるわけではなく、
つかい道を考えていそれを手織りでマットに仕立ててみたとのこと。
こちらは非売品ですが、特集展期間中は店内に展示しております。

他にもこちらはTさんご兄弟のお父様が作られたという、むきあけびのかご。
(※こちらも今回、特別に許可をいただき展示しております)

Tさんは弟のNさんとお二人であけびのかごを作られています。
その2人の手から作り出される、何十種類にも及ぶ、珠玉のかごの数々、
展示品とともに、どうぞ会期の最後までお楽しみください。

イチカワトモタケ

長野の山間で、代々編まれてきたあけびのかご。
どこかヨーロッパの雰囲気をまとい、
日本のかご細工──たとえば竹かごとはまた違う、
異国の気配をたたえています。

これまでに弊店でながくご紹介してきたあけびのかごは、
確かな腕を持つご兄弟によるもの。
今回の特集展では、手付きのかごを中心にした
定番品の販売にくわえて、
工房よりお借りした貴重な作品もご覧いただけます。

そのうち照明作品2点については、
ご希望に応じて数量限定で受注を承ります。

熟練の手から生まれる、ゆったりとした
おだやかなかたちの数々。
どうぞ、この機会にご覧ください。

あわせて、岩手から届いたばかりの
*くるみのかごバッグ**も販売いたします

春のお出かけが楽しくなるような
心にとまるひとつを見つけていただけたら嬉しく思います。

▽▼

“ひとつのテーブル” 特集展|長野・あけびのかご

– 時を超えて編まれる手しごと、境を超えて届くかたち –

2025年5月

1日(木),2日(金),3日(土),4日(日),5日(月),6日(火)
8日(木),9日(金),10(土)

*7日(水)はお休み

Open | 11:00ー16:00

実店舗 | 東京・南千住「市川籠店」