L’Oseraie de l’île フランスのカレン&コランタン夫妻 自分たちのリズムでかごを編む

フランス南西部、ボルドー地方の近く。
柳畑の広がる農場「L’Oseraie de l’île(ロズレ・ド・リル)」で、カレンさんとコランタンさんはかごを編んでいます。
もちろん最初からお二人は一緒だったのでなく、
フランス内での別の地域で生まれ育ち、それぞれ異なる背景から「かごを編むこと」に辿り着きました。

1.やなぎとの出会い
カレンさんは、美術学校での学んでいましたが、その概念的なものがおおく、強くフラストレーションを抱えていたそう。
その学校のアイルランドで行われた研修で、初めてやなぎのかご編みに触れ、
やなぎはすぐに彼女に語りかけてきたと言います。

その香り、その技術。
ほんの少しの道具と、数本の枝。
そして、自分たちの手だけで形を生み出すということ。
全てが魔法のように感じられたそうです。

一方、コランタンさんのきっかけは、当時病気だったお母様と何かを共有する時間を持ちたいと思ったことがきっかけだそう。
2.二人の出会いとL’Oseraie de l’îleの始まり

彼ら二人は、フランス各地で行われているクラフトマーケットで出会われたそうです。
すぐにお互いの技術に惹かれ合い、技術を共有したいと思うようになったそう。
そして、彼らは「愛がそのすべて結びつけた」と言います。
お二人はフランスの異なる地域のご出身ですが、コランタンさんがやなぎを仕入れていた、
南西部の農場「L’Oseraie de l’île(ロズレ・デ・リル」が売りに出されていることを知ります。
そこはなんど、やなぎの栽培を中心に営まれていた農場だったのです。

「二人のかご職人にとって、それはきっと素晴らしい冒険になると感じた。」
こうして彼らは7ヘクタールものやなぎの畑を引き継ぎ、
主にボルドー地方のブドウ畑で使われる結束用のやなぎを栽培し始めました。
2020年には栽培規模を縮小され、
現在はご自身たちのかご作りの分だけを育てられています。

3.やなぎを自分たちで育てることの意味

やなぎを自分たちで管理・栽培することは、本当に大変なことだと思いますが、
そこには、大きな意味がああり、とても美しい営みであるとおっしゃる二人。
日本の竹細工でも同じようなことが昨今言われていますが、フランスやヨーロッパ各地でも、
現在、良い材料を供給してくれるところが、年々少なくなっているそうです。
そして、彼らは「自分たちが望む方法で、自然を尊重しながら素材を育てられるということは、
とても理にかなっていて、そして満足感のあること」と言います。

現在、お二人は20種類にも及ぶ、やなぎを育てていらっしゃいます。
「自分たちでやなぎを育てることで、土地に合った品種を選ぶことができますし、さまざまな品種を試すこともできます。」
しかし、その年にどのような長さや状態のやなぎが育つかまでは、
自然のことなので、選ぶことができないようで、作り手である彼らには大きな柔軟性が求められるそう。
同時に、彼らはこう言います。
「お客様にも色が自然のものであることや、資源が毎年限られていることをご理解いただく必要があります。
その年に採れたやなぎの在庫にあわせて、かごを作ることもあります。その逆ではありません。
それはまさに、農家としての論理の中にある考え方です。」

私はこの言葉を聞いて、ハッと気付かされました。
わたしから見れば、彼らは、伝統的な実用のかごを作り続けるタイプというよりは、
伝統的な技法を生かしたアートやオブジェも作られるお二人。
てっきり、私はそのお二人のイメージから、
やなぎの在庫よりも、「作りたいものやかたち」が優先されているかと思っていました。

しかし、表向きのアートやオブジェという私たちが見ている姿ではなく、
彼らは、どっしりと「L’Oseraie de l’île(ロズレ・デ・リル)」という土地に根を張り、
日々、畑ややなぎと向き合い、まさに地に足のついた暮らしをし、仕事をしているのだと。
このメッセージを見て、私はどこか安心し、うれしくなり、
そして、なにより彼らに対して、より信頼が厚くなりました。

4.かたちの源

「私たちは、やなぎという素材が、その形の中で私たちに課してくる“技術的な挑戦”を愛しています。
そして、材や曲線、素材そのものの中にある張りの遊びを通して、編みの中に動きを生み出すことを楽しんでいます。」

そのインスピレーションは、曲線のもつ美しさやシンプルさの中に、あらゆるところにあります。

そして、ときに大きな作品も手がけるお二人は、
その時に二人で取り組む“デュオ”としてのやり取りそのものも、創作の原動力になっているそうです。

5. 編むときに最も大切にしていること
「張りのバランスの“遊び”」

彼らは編む時に、その一本一本のやなぎの性質を見つめ、
素材の中に隠れているものを引き出し、それを強調することが大切だとおっしゃいます。

そして、彫刻の世界と同じように、美しい曲線を描いたところで、適切なタイミングで止めること。
6.いま、この仕事のいちばんの喜び

「工房で二人一緒に、
自分たちのリズムで柳を編んでいる時間。
それこそが、私たちの喜びであり、私たちの生き方そのものです。」

そんなお二人と2015年に初めて出会ってから、長い年月を経て、
やっと弊店で、二人が作られたかごをご紹介することができ、本当に感無量です。
ドイツ・リヒテンフェルスのかご祭りでは、
短編映画を上映する「フィルムフェスティバル」も開催されました。
2025年には、彼ら二人を撮影した映画が、グランプリに輝きました。
映像の作り手はフランス・ボルドーで活動するHéloise Allemandouさん。
https://www.heloiseallemandou.com/
この映像には、やなぎの収穫風景や工房でかごづくりをしている様子などが、
まるでフランス映画のようなクオリティで収められています。どうぞゆっくりとお楽しみください。
在庫があるものは、東京南千住の店舗にて、お手に取ってご覧いただけます。
この機会にどうぞ「L’Oseraie de l’île(ロズレ・デ・リル)」のお二人のかごをご覧くださいませ。
つづく
イチカワトモタケ
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“ひとつのテーブル”特集展
ドイツで出会った、ヨーロッパのかごたち
2026年
2月19日(木)・20日(金)・21日(土)・22日(日)・23日(月祝)
26日(木)・27日(金)・28日(土)
3月5日(木)・6日(金)・7日(土)
Open | 11:00ー16:00
実店舗 | 東京・南千住 「市川籠店」






