齋藤かおるさんのアトリエ、そして森へ

こんにちは。
今回のジャーナルでは、山形で樹皮細工を手がける、
齋藤かおるさんのもとへ訪ねたときのことをお届けします。

できるだけ私たちが見てきた、そのときの風景を
みなさまにそのままお伝えできればと思います。

かおるさんのもとを訪ねたのは、2025年秋。
ちょうど「あけび」と「またたび」の材料を採りに山に入るご予定とお聞きして、
そのタイミングに合わせて工房へと伺いました。

知人の方が、駅まで迎えにきてくださり、
工房ではかおるさんが迎えてくださいました。
お会いするのは、実に8年ぶりのことです。
以前にも一度こちらの工房を訪れ、お話をうかがったことがありました。
それ以来、ペンダントやキーホルダー、オーナメントなど、
かおるさんの作品を弊店でも長くご紹介してきました。

まず初日は、あけび蔓の採取に同行させていただきました。かおるさんと一緒に材料取りに行くみなさんと、山へと向かいます。 
この日は、秋晴れの心地よい一日でした。 
さっそく、あけびの蔓を探しはじめます。 
あっという間に木々の間へと入っていくかおるさん。 
カメラを構えているあいだにも、かおるさんはどんどん茂みの中へと分け入っていきます。 
こちらがミツバアケビの蔓です。 

あっという間に、つぎつぎと蔓を見つけていきます。 
山に入る作業はけっして楽ではないと話されていましたが、それでもとてもたのしそうにされていたのが、印象的でした。 
このとき採取したあけび蔓の束。 
作業の合間には、何度も深く息を吸いこみ、「気持ちいい」と言葉にされていました。また休憩中には、山を見上げる姿が何度も見られ、その様子がとても印象にのこっています。 
素材を得るために山へ入る。その一方で、この場所に身を置くこと自体を大切にしているようにも感じられました。 
さて、あけびの採取を見せていただいたあと、工房にもどり、あらためてお話をうかがいました。 
かおるさんのアトリエには、これまでに製作されてきたユニークな作品が、あちこちに並んでいます。眺めているだけでもたのしい空間です。 
こちらはシナノキの皮。そのシナの皮でつくられる「シナガワBANK」。オブジェにもなり、貯金かごとしてもつかえます。 
こちらは、小さめのまたたびボール。まだ青々とした枝の風合いが感じられます。 
こちらはかおるさんがお作りになる、やまぶどうのかごバッグ。細かい三つ編みが施された、ほかでは見られない意匠です。 
あらかじめ細くしたやまぶどうの樹皮を、手早く三つ編みにしていきます。 
きれいに整えられた、やまぶどうの三つ編み。 
かおるさんに、こちらのカゴバッグを持っていただきました。すてきです。

さて翌日は、またたび採りを見学させていただきました。この日は朝から雨が降ったり止んだりと落ちつかない天気でした。 
またたびの樹皮は、需要が増えていることもあり、ここ数年でさらに手に入りにくくなっているそうです。 
この日の天候はけっして良いとは言えませんでしたが、それでも、一緒に採りに行く人たちとの予定を合わせて、この日にまたたびの採取に向かうことをあらかじめ決めていたそうです。 
以前はご主人と二人、その日の天気を見てパッと山へ入ることもあったといいますが、近年は熊の問題もあり、かならず日程を合わせて複数人で行くようにしているとのことでした。 
今回の訪問にあわせて、その採取の様子を見せてくださるよう、あらかじめ予定を調整してくださいました。 
雨のなか、熊への警戒もあるなかで、かおるさんがふと口にされた言葉が印象にのこっています。 
「仕事じゃなかったら、誰もこないわ、こんな(大変な)とこ。(仕事をしたい)欲だのう、欲。」 そうおっしゃるかおるさんの言葉からは、かごをつくりたいという強い気持ちが、険しい山へ向かわせているようにも感じられました。 
急な斜面では、足で地面を踏み固めながら登り進んでいきます。そうした動きからも、長年の積み重ねが感じられます。 
またたびの見極めには経験が必要です。いくつかの特徴を見ながら判断していきます。 
一緒に行ったメンバーもそれぞれに探しますが、最終的な判断はかおるさんが行っていました。 
採取したまたたびはすぐに下ごしらえをします。 
ヨーロッパで、やなぎ細工の職人がするのとおなじように、またたびの枝を割く道具をつかい、荒割りをします。 
その後はカッターをつかい、必要な厚みまで削っていく、実に根気のいる作業がつづきます。 
こちらはまたたびで作られた大きめのボールです。小さなお子さんも遊べる、軽やかさと手触りの良さがあります。

かおるさんは、細かな編みや複雑な模様をつくり上げる、確かな技術をお持ちです。
そのうえで、やまぶどうやあけび、くるみといった自然素材を扱うことに、
おもしろさを感じているとおっしゃいます。
素材ごとに「クセ」や「うねり」があり、思い通りにならないところが魅力なのだそうです。
整えられた材料とはちがい、そのままの状態を受けとめながら、すこしずつかたちにしていく。
手間のかかる作業ではありますが、そのひとつひとつの積み重ねに、
仕事としての面白さがあるのだろうと感じました。

今回は2日にわたって材料の採取を見せていただきましたが、
かおるさんたちが山で採った素材のなかには、すぐには使わないものも多くあるそうです。
すこし年月をおいて、材料を十分に落ちつかせてから、編むこともあるとのこと。

そうした素材の一部が、このような唯一無二のアクセサリーや小物として生み出されています。
かおるさんは、小さなかたちのものづくりもお好きなのだそうです。
簡素に見えても、ひとつひとつ丁寧に仕立てられており、
素材の個性を生かしながら、しっかりとしたつくりに仕上げられています。
無理にかたちを整えすぎず、素材の表情をそのまま引きだしていく。
そうした姿勢が、作品の魅力につながっているように感じられました。

かおるさんがひとつのかごを仕上げるまでには、三十以上の工程があります。
その一つひとつに、手を抜くことはないそうです。
「本当は、もうすこし楽にできたらとも思うんですけどね」と話しながらも、
「お金をいただいて買っていただくものだから、きちんとつくるのは自分の責任」とつづけておっしゃいました。
せっかく手に取っていただくなら、良いものを届けたい。
その気持ちが、すべての工程に通っているのだと感じました。
ぜひ、その作品を店頭にてご覧いただければと思います。

“ひとつのテーブル” 特集展
齋藤かおるの手仕事 | 森からの恵み
やまぶどう・またたび・しなのき・あけび・くるみのアクセサリーとかごバッグ
南千住・市川籠店にて
■
2026年
4月29日(水祝), 30(木)
5月2日(土), 3日(日), 4日(月), 5日(火), 6日(水)
5月9日(土), 14日(木), 15日(金), 16日(土)
︎*上記日程は11時から16時までの間、どなたでもご来店いただけます
︎*上記以外の5月1日(金),8日(金),11日(月),13日(水)は来店予約制となります
*常設商品もご覧いただけます。お探しのものがありましたら、お気軽にお声がけください
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山形の地で、やまぶどう、くるみ、あけび、またたびなど、
さまざまな山の素材を用いて、ほかではあまり見られないユニークなかたちや、
思わず見惚れてしまうような樹皮細工をつぎつぎと生み出されている齋藤かおるさん。
ご自身で山へ入り、材料の採取から一貫して製作をされています。
今回の特集展では、弊店でも長くご紹介してまいりました
定番のアクセサリーや小物に加え、特集展限定の作品も多くご用意しております。
なお、やまぶどうのかごバッグは、店頭にて一点のみの展示・販売となります。
ご購入いただいたかごバッグは、会期中は展示をさせていただき、会期終了後にお渡しします。
あらかじめご了承いただけますよう、お願いいたします。
そのほか、齋藤かおるさんの製作コレクション(非売品)も
あわせてご覧いただきます。
期間中は、南千住の実店舗での展示・販売および
公式オンラインショップでも通常品および特集展限定作品の販売を予定しております。
齋藤かおるさんならではの、ユニークで瀟洒-しょうしゃ-な佇まいをもつ
作品の数々を、ぜひご覧ください。
皆さまのご来店をお待ちしております。
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ここからは、作品の一部をご紹介します。

やまぶどう×ガラス ケーキスタンド 税込39,600円 
やまぶどう ブローチ ゴッホ 税込7,150円〜 
あけび みだれ編みかご やまぶどう手 税込25,300円 
くるみ ガラス玉 税込5,280円 
くるみと石のペーパーウェイト 税込5,280円 
くるみ コイリングトレイ 税込17,600円〜 
あけび 手つき ウェーブバスケット 大 税込132,000円 
くるみ オーナメント スター 小・大 税込6,160円/7,040円 
あけび・くるみ・やまぶどう bun. スマホ ショートストラップ ブラウン・ダークブラウン・ブラック 税込8,250円 
やまぶどう・くるみ・あけび bun. キーホルダー 大 税込7,260円 
シナノキ しな皮バンク 大 税込9,680円 
あけび×くるみ スクエアトレー S・L 税込2,310円/税込8,470円 
またたび 猫じゃらし(またたびボール) 皮付き・実入り 税込6,820円 
やまぶどう・くるみ・あけび ロングペンダント ミックス 税込10,230円 
やまぶどう ロングペンダント 税込8,470円 
やまぶどう ペンダント バッグ型 税込10,230円

そしてこちら、やまぶどうのかごバッグです。一点ものとなります。 *Sold out(最終日まで展示していますが、ご売約済みのため、お手を触れないよう、お願いいたします。) 
やまぶどうで編まれた「花ぶどう」のチャーム付き。 
齋藤かおるさんの手によって、丁寧にひとつひとつの工程を重ねて作り上げられた、ほかでは見られないかごバッグです。 
かごのなかには内布が付いており、両サイドにはポケットがあります。 
先ほどご紹介したやまぶどうの三つ編みが編み込まれ、緻密で趣のある仕上がりです。 


内布がかごの「かぶせ」にもなっているので、お出かけのときも安心です。 

アトリエの雰囲気や、森での材料採取・加工の様子、ショート動画でどうぞご覧ください。
【音楽が流れます】

※作品は、作り手の長年の経験と試行錯誤から生まれた大切なものです。
製作の参考や研究を目的としたご見学につきましては、お控えいただいております。
状況に応じて、こちらからお声がけする場合もございます。
ご覧いただく際には、ほかのお客さまへのご配慮とともに、
節度あるご鑑賞にご協力いただけますと幸いです。
また、どなたさまにおきましても、店内での写真撮影は
店内全体を1枚のみとお願いしております。
個別商品の写真撮影は、基本的にお断りしております。
ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。