オランダのエスメ・ホフマンさんの展示 ― ドイツ出張記 14

こんにちは。イチカワトモタケです。
今回のドイツ出張の旅では、もう一人素晴らしい作り手のかたに会うことができました。
今回リヒテンフェルスのお祭りの前夜祭の一つのイベントとして、
メインの広場とは別の特設会場で、その方のかごが展示され、セレモニーもあるとのことで、
ぜひ、見学したいと思い、会場へ向かいました。

にぎやかなメイン会場から、地図や案内板にしたがって向かいますが、ドイツ語だけなので、やや不安な気持ちで向かいます。急な坂を登っていきます。ちょうど、遠くの山の稜線に太陽が沈もうとしている時間で、息を呑むような美しい景色が見られました。 
途中には、家の外壁にやなぎで編まれた少女のオブジェ。編み細工がそこかしこに見られるのは、かごの町ならではの楽しさです。 
夕日に照らされて、茜に染まっているこちらの建物が会場です。元は城があった場所をリメイクした建物とのことで、現在は、町の展示やイベント施設としての役割を担っているとのこと。どうりで、坂が急だったわけですね。 
初めてこのお祭りにきた私にとっては、メイン会場のにぎやかさから、ずいぶん離れた気がしたので、不安がありましたが、ありました!かご祭りの横断幕。

そして今回、その旧城で展示されているかごを作られたのはこの方、
オランダのエスメ・ホフマンさんです。
展示のタイトルは「Die feine Art des Flechtens(繊細な編みの芸術)」
エスメさんはやなぎをつかった、細編みのかごを作る名手で、
彼女のこれまでの作品を一同に見ることができる貴重な機会ということで、私も楽しみにしていました。
そして、すでに私たちがお取り扱いをしているベルギーのジェニーさん、ジェフカさんの師匠にあたる方です。
お祭り期間中、この旧城でのエスメさんのかご展示開催にあたり、オープニングセレモニーが行われました。

旧城の大きな一部屋は古い建築の跡を残しながらも、
プロジェクターや少し上がったステージにピアノが置いてあるなど、ホールのようにつかえるようになっていました。

緑の服を着ていらっしゃるのがエスメさんです。

かごクィーンやの挨拶や、 
主催者のお一人であるマンフレッドさんのスピーチ。 
そして、主役のエスメさんのスピーチがはじまりました。エスメさんはオランダのかたではありますが、かごの勉強をされたのは、このドイツ・リヒテンフェルスにあるかごの学校だったそうです。 
ドイツのかご学校は3年制で、年次ごとにカリキュラムが組まれており、3年間のあいだに「かご細工全般」「家具作り」「細編み技術」を、それぞれ1年ずつ学ぶと聞いていましたが、なんと彼女は、ご自身の特性がわかっていらしたようで、学校に特別にお願いをして、「細編み技術」だけを3年間学び続けたそうです。 
私も全然それまでわかっていませんでしたが、このリヒテンフェルスはかごの細編み文化が発達した地域で、たくさんの細編み技術を持った作り手が活躍していた町だったのです。上の写真は、旧城のホールに併設したギャラリーの一角です。すべて、細かい細編みで緻密に仕上げられた品ばかりです! 
そのリヒテンフェルスの細編み技術コレクション、どうぞご覧ください。 
それぞれのカードには作られた年や作者名が書かれていました。 
1925年から1930年ごろがほとんどでした。およそ100年前に作られたかごだということがわかります。 
緻密な模様や蓋付きのかごなど多彩です。 


日本の竹細工にどこか通じるような風合いのかごも。 
このような昔のかご作りのシーンをきりとったようなミニチュア模型まで。かごもしっかり編まれています! 
材料のやなぎの様子や、地図に至るまで実に丁寧に作られていました。 
エスメさんに話を戻します。彼女は、そんな歴史的に細編みかご細工を作っていたこのリヒテンフェルスの学校で、その細編み技術に集中して学ばれたそうです。プロジェクターにうつっている写真はエスメさんが作ったもの。繊細な編みもようの蓋付きかごです。 
上の写真と同じように、エスメさんミニチュア模型のようなものを作られるそうです。 
竹細工でもよくつかわれる六つ目編みをつかったかごも。 
スピーチの最後には、エスメさんに細編み技術を指導された先生も登壇し、エスメさんの成長に先生が感極まるシーンもあり、とても温かいセレモニーとなりました。

セレモニーが終わったら、会場にいた参加者は展示会場に案内され、
エスメさんの作品を各々がじっくりと鑑賞していました。
写真左奥には帽子をかぶった、ジェフカさんもいらっしゃいます。
師匠の作品の展示を改めて、楽しまれているようでした。
その時間はたくさんの人がいましたので、私は会期中改めてゆっくりと拝見することにしました。

さて、それでは、改めて、エスメさんの作品をご紹介してまいります。
すべてではありませんが、ぜひ、エスメさんの作品の一端をお楽しみいただけたらと思います。

蓋付きのかご 

あ!これは、わたしたちが彼女の弟子であるジェフカさんにも作っていただいたかたち。エスメさんが作り出したかたちだったのですね。 
こちらも見覚えがあります。 
あ、こちらにも以前、ジェフカさんのお母様ジェニーさんにお願いしたことのあるかたち。ジェニーさん、ジェフカさんは親子でエスメさんのもとで勉強したと聞いています。その師匠であるエスメさんご本人のかごを見ることができてじつにありがたい時間でした。 
四角いトレイや、 
透かし編みの美しいトレイなども。 
こちらはどこか日本の竹工芸にも通じるようなかご。 

そして、この蓋付きのバスケットの美しさ。 

どのかごの目を見張るものばかり。いつまでも見ていられるような輝きを放っていました。

こちらは、リヒテンフェルスで、たまたまお会いできたときの一枚。
左からエスメさんの旦那様、エスメさん、ジェフカさん、ジェニーさんです。
私は、エスメさんのお名前はずいぶん前から存じ上げていましたし、
ジェニーさん、ジェフカさんからエスメさんが師匠だというお話も聞いていたので、
このメンバーが一緒にいらっしゃることには一人感激し、思わずお願いをして、写真を撮らせていただきました。
今回のリヒテンフェルスでは、エスメさんとゆっくりお話をするタイミングがなかったのですが、
いつかゆっくりとお話しして、みなさまにかごをご紹介できたらなあ、と思っております。

今回、弊店で開催した
“ひとつのテーブル” 特集展
ドイツで出会った、ヨーロッパのかごたち
エスメさんのかごのご紹介は今回かないませんでしたが、
弊店でも取り扱いがあり、また、2025年のリヒテンフェルスのかご祭りに参加していらした
ジェニーさん、ジェフカさん親子のかごはご用意しています。
今回、特集展のためにそのお二人が届けてくださったかごをご紹介します。
各商品ページへのリンクもつけています。

ピンチバスケット S、M 
ミニマムな荷物でのお出かけにも。 
丸バスケット Natural・White 

やなぎ×オーク 丸バスケット Sphere 

やなぎ キャリーケースバスケット*SOLD OUT 

やなぎ 細編み 丸バスケット Spiral*SOLD OUT 
ジェニーさんとジェフカさん親子はユニットとして、
「デ・ラテラール(オランダ語で音を鳴らすものの意)」という屋号で、活動されています。
ジェフカさんは、エスメさんの細編み技術を習い、
また、それを得意とし、数々の細編みかごを現在も制作されています。
一方、ユニットとしてつくられるかごは
ヨーロッパ各地の伝統的なやなぎのかごのかたちや、
お客さまからのオーダーメイドに至るまで、実に多彩です。
ジェニーさんがおっしゃった「ゆりかごから棺桶まで」という言葉のとおり、
たくさんのリクエストに応じてかごを作られています。
弊店の店頭、そして、オンラインショップで、
どうぞ彼らのかごをお楽しみください。

ドイツの出張記、いよいよ次回が最終回となります。
イチカワトモタケ
ベルギーのジェニーさん、ジェフカさん親子との出会いはこちらのジャーナルからどうぞ。
宝石のようなかご/ベルギーよりジェニー・ジェフカさん(後編)