はじめてのリヒテンフェルス ―ドイツ出張記 7

こんにちは。
イチカワ トモタケです。
さあ、
かご職人・ハンスゲルトさんとの再会を誓い、ドイツ・ダルハウゼンの町に別れを告げ、
ひとり大荷物をかかえながらローカル線を何度も乗り継いで、やっとここに到着しました〜!
かごの町・リヒテンフェルス!
ドイツ南部のバイエルン州、オーバーフランケン地方にある小さな町で、人口は二万人ほど。
町の周辺にやなぎの産地が広がるこの地域では、
毎年9月に伝統行事である「かごのお祭り」が開かれます。

最寄り駅からホテルへ向かう電柱にも、お祭りの大きな案内板が!
リヒテンフェルスの町に降り立ち、こうして歩いていると、
本当に、やっと、この場所に来られたんだという実感がじわじわと湧いてきます。

こちらのお祭りでは、土曜日と日曜日の二日間にわたり、
かごの市場も開かれます。
そして今日、つまり前日の金曜日には、
リヒテンフェルスの町の中心部でパレードや前夜祭が行われるとのこと。
夕方、前夜祭がはじまる前に会場の様子を見ておこうと、
少し早めに町の中心部へ向かいました。

看板には “FLECHT KULTUR FESTIVAL”、その下に “KORBMARKT LICHTENFELS” と記されています。日本語にすると、「編み文化のフェスティバル、リヒテンフェルスかごマーケット」といった意味になるようです。 
こちらの横断幕には「編み文化を体験しよう!」と記されています。「かご編み」をひとつの“文化”として位置づけ、それをお祭りのタイトルとしてかがげる姿勢に、私は感銘を覚えました。 
出展者や関係者によるパレードが18時から始まると聞いていたので、その前に町の中心部を散策することにしました。こちらがメインステージです。開祭式をはじめ、音楽や踊りなどの催しが行われます。 
メインステージの前や横には、長机と長椅子がいくつも並べられ、すでにビールを飲み始めている人たちの姿もちらほら。音楽も流れ、会場には早くもお祭りらしい空気が感じられます。 
大きな、大きなかごバッグに植物があしらわれたモニュメント。お祭りのための装飾だと思いますが、町の風景によく溶け込んでいて、この町のひとつの象徴として、いつもここに佇んでいるかのようにも感じられます。 
ええっと、これは、なんでしょうか。まさか、かごのメリーゴーラウンド? 子ども用でしょうか。明日の様子をまた見にきてみましょう。 
メインステージのある広場を囲む飲食店では、どの店も店先にテーブルや椅子を並べています。そしてなにより目を引くのは、建物そのものの佇まい。どれも古く、質実剛健な石造りで、長い年月を経てきたことを感じさせ、とにかく格好いい。 
広場にも模擬店がたくさんならび、どの店でも大きなジョッキを傾けて、ビールを注ぎはじめている様子が見えます。日本に地酒があるように、ドイツにも州や地方ごとに、その土地ならではのビールがあるとききます。 
こちらでは、リヒテンフェルスのあるフランケン地方の地ビールが販売されていました。メニューには、ビールや白ビール、ビール+レモネードのほか、ノンアルコールのビールや白ビールもならんでいます。価格は、500mlで5.5ユーロ(約900円)、1リットルで11ユーロ(約1,800円)。ソフトドリンクは、コーラ、コーラ+オレンジ、リンゴソーダが4.5ユーロ(約750円)、炭酸水は4ユーロ(約650円)でした。 
すばらしいと思ったのは、飲み物の代金と一緒に、瓶やジョッキの代金をデポジットとしてあらかじめ支払うというシステムです。その際、どの店で購入した瓶やグラスなのかがわかるよう、飲み物と一緒に専用のコインが渡されます。飲み終えたあと、グラスや瓶とともにそのコインを返却すると、容器代が戻ってくるという仕組みです。使い捨ての容器で終わらせるのではなく、しかもコインというとてもシンプルな方法で、こうしてきちんとリサイクルの仕組みが根付いていることにも、感心させられました。

ビールのほかにも、こちらのお店はSCHNAPS-シュナップス-というドイツの蒸留酒を出す屋台のようです。ショットグラスで飲む、度数の高いお酒だそう。 
看板にはGurken(きゅうり)と書かれているので、どうやらきゅうり風味のものがあるようです。ほかにも、にんじんやセロリなど、いろいろな味があるようでした。 
ビールやお酒の屋台のほかにも、サンドイッチ屋さんや 
ソーセージやステーキのお店、 
こちらはホットドッグや、ベルギーフライドポテトを売る屋台。太めに切ったじゃがいもを二度揚げするのが特徴だそうで、おいしそう! 
デザートには、クレープ屋さんや、 
いろいろな果物にチョコレートをコーティングしてくれるお店。チョコバナナもありました。 
そして、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家を思わせるような、たくさんのお菓子がならんだ屋台まであります。 
さまざまな人々が思い思いにたのしむ、ドイツのお祭りの風景が見られました。 
おっと、そうだ、もうそろそろパレードの時間です!

パレードは、今いる広場よりさらに坂をのぼった先、時計台のあたりから始まると聞いていたので、
いそいで坂をのぼり、パレードの一行を待ちかまえます。

時計台の坂をのぼっていくと、救急隊員の姿も。 
雲ひとつない夕暮れの空に、リヒテンフェルス市の旗がたなびきます。 
パレードを待っているあいだも、つい、かごに目が留まってしまいます。ヨーロッパでよく見られる、ピクニックバスケットのかたち。さりげなく使われている様子が、とてもすてきです。 
この2025年のフェスティバルには、資料によると、5大陸18カ国から80を超える作り手たちが集まったそうです。 
さあ、午後6時をまわり、いよいよパレードが始まりました。遠くからブラスバンドのリズムが近づいてきます。 
「第44回 かごマーケット」と書かれています。お祭りそのものの歴史はもっと古いのですが、このように国際的なかごマーケットとして開催されるようになってから、今回で44回目になるという意味だそうです。 
パレードの先頭を歩くのは、白と赤の衣装が映える女性たちのチーム。 
そのあとにつづくのは、通称「かごクィーン」とよばれる、このお祭りの顔ともいえる存在で、親善大使としての役割を担う方です。手にしている蓋付きのかごも、とてもすてきです。 
パレードの参加者は、皆、かごの材料であるやなぎを手に持って歩いています。この素材を大切にしてきた土地なのだということが伝わってきます。 
ほかにも、やなぎで編まれたベビーカーに乗った子どもたちや、この地方の昔の衣装をまとった女性の姿も。 
そして、皆のお待ちかね。「かご職人たち」と書かれた看板のあとに、お祭りに参加する作り手のみなさんがつづいて登場します。 
それぞれが自分のかごを手に持ち、ときに周りの人と言葉を交わしながら、ゆったりと歩いていきます。 
こちらのお二人は、ダルハウゼンのハンスゲルトさんのところでもご一緒した、カレンさん、コランタンさんご夫妻です。 
そしてベルギーのジェフカさんと、手前のメガネをかけた女性、彼の師匠にあたる、オランダのエスメ・ホフマンさんの姿も。 
ポーランドのかご編み大会にも参加していた、ウクライナのメンバーも。 
ああ!パヴラクさん! ポーランドの世界かご編み大会の主催者です。 
かごではなく、ビールを片手にのんびり歩く人や、 
パレードを沿道で見守るお客さんに、やなぎで編んだ小物をプレゼントしている姿も見られます。 
そしてそして、このドイツのお祭りの主催者代表、マンフレッドさん。2023年のポーランド大会でご縁があり、たくさんお話をさせていただきました。彼からのお誘いも、今回ドイツへ来ようと思った大きなきっかけのひとつでした。 
パレード一行は時計台からゆっくりと坂を下っていき、メインステージのある広場へと進んでいきます。

さあ、私もパレードを追いかけて、ふたたびメインステージのある広場へと下りてきました。

ちょうどメインステージでは、開祭式が始まったところでした。市長の挨拶につづき、実行委員の皆さんや、かごクィーンの挨拶がつづきます。 
気がつけば、そのころには長机と長椅子もほとんどすき間なく、人々でいっぱいになっていました。 
開祭式が終わると、ふたたびビールを前に、皆さんの宴が始まります。メインステージからは、ダンサブルな音楽が響いてきます。 
パレードや開祭式を終えた人たちが、広場でくつろいでいる様子も見られます。伝統衣装がすてきです。 
にぎやかな雰囲気になってきた会場を見渡していると・・・ああ、会えました! ベンジャミンさんです。ご家族でいらしていました。2023年のポーランド大会以来、かごのお取り扱いをさせていただき、メールでのやりとりをつづけていましたが、お会いするのは2年ぶりです。嬉しい! お元気そうで何よりでした。このお祭りのあと、ベンジャミンさんの工房やご自宅も訪問させていただきました。その様子はまた、後日のジャーナルにて。 
そして、もう一人、お会いしたかったのがこちらの方。スペインのパウさんです。カタルーニャ地方の伝統的なかごを作られる方で、事前に連絡を取りあい、「このお祭りで会いましょう!」と約束していたのでした。私も南米パラグアイに2年ほど滞在していたことがあるので、片言のスペイン語で話しかけてみると、とても喜んでくださり、すぐにアミーゴ(amigo=友達)になることができました。スペイン語、勉強していてよかったです。 
メインステージでは、生演奏のゴキゲンな音楽が絶え間なく流れつづけています。 
その前では、市長をはじめ、かごクィーンやお祭りの参加者たちが、音楽に合わせてたのしそうに踊っています。 
ここにいる人たち、皆、ゆっくり過ごしながらこのお祭りの時間をたのしんでいるようでした。きっと、毎年この日をたのしみに訪れている方もいらっしゃるのでしょう。 
陽が落ちてからは、照明に照らされて浮かび上がる建物や人々の表情がとてもうつくしく、いつまでも眺めていたくなる光景でした。
かごフェスティバルのパレードや開祭式、
そして前夜祭の様子をショート動画でご覧ください。
【音楽が流れます】

いよいよ明日はお祭りの初日です。
今宵のたのしい宴はまだまだつづくようですが、
私は早めにホテルに戻り、明日を迎えることにします。
つづきます。
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“ひとつのテーブル”特集展
ドイツで出会った、ヨーロッパのかごたち
2026年
2月19日(木)・20日(金)・21日(土)・22日(日)・23日(月祝)
26日(木)・27日(金)・28日(土)
3月5日(木)・6日(金)・7日(土)
Open | 11:00ー16:00
実店舗 | 東京・南千住 「市川籠店」
